やどりき水源林ニュース 第25号

2005年6月

やどりき水源林に夏が来て

特集 清流に棲むいきものたち


 初夏を彩ったウツギの季節も過ぎ、やどりき水源林はいよいよ紫陽花の時期を迎えようとしています。沢の水もぬるみ、河原には訪れる人の姿も目立ち始めました。源流に程近いここヤドリキの沢は水源の森林に育まれた屈指の清流というだけではなく、清流ゆえにこそ育まれる多くのいきものたちの命豊かな沢でもあります。
時には、源流部の清流でけなげに生きている水中のいきものたちに目を向けてはみませんか。

 かながわ森林インストラクターの会では、ヤドリキ沢を中心に3年前から水生生物の定点調査を行っています。
 写真は、5月7日、ヤドリキ沢、ウシロ沢、アッチカオ沢で行われた調査の様子です。次ページの写真はその時に撮影された水生生物の一部です。


カジカの幼魚
 上流の清流の指標魚、背びれは2基、腹ビレは吸盤状

サワガニ
 清流に棲み、体色変異(青みから赤)が見られる

トビゲラの幼虫と石の裏側に作られた巣。砂粒や植物片で筒型の巣を作る種類も多い。

ヒゲナガカワトビゲラの幼虫
 トビケラの足は3対、口器に絹糸腺があり糸を吐き出し巣や餌を取る網を作る。幼虫に翅の原型がない。

ヒメオオヤマカワゲラの幼虫
 カワゲラの尾は2本、カゲロウの幼虫と間違えやすいが、足のツメが2本が識別の指標。この種は丹沢に多い。

ミツトゲマダラカゲロウの幼虫
 カゲロウの尾は2〜3本。足のツメは1本、腹部にエラを持つ。成虫の命は、短いもので数時間、長くて数日。

クロサナエの幼虫(サナエトンボ科)
 サナエトンボ科の幼虫はたいてい扁平な紡錘形のヤゴ。

ミルンヤンマの幼虫
 上流域の流れの緩やかな落ち葉の堆積した場所に生息。初夏に成虫になる。

ヘビトンボの幼虫
 体は赤褐色で腹にムカデの脚状の突起がある。6月〜8月に成虫になる。

ヤマトクロスジヘビトンボの幼虫
 体色が黒く、頭部先端の頭楯が白い。6月前後に成虫になる。

ヒメガガンボ亜科
 ガガンボは腹の末端にいくつか突起があり、その数は亜科により異なる。

ウズムシ(プラナリア)
 体はやわらかく切れやすく節が無い。再生能力が高く、切断してもそれぞれが再生する。清流の指標生物。