やどりき水源林ニュース 第33号

2006年2月

水源林を守り整備する営み

 やどりき水源林は、県民の皆様に水源の森林づくりをじかに見ていただき、参加していただくために、県民活動の拠点として設定されました。
今月号はこの水源林を守り整備する営みを紹介します。

複層林をめざして
 周遊Aコース途中のこの付近の森林は、1935年頃植栽が行われ、その後、間伐と捕植が繰り返され現在に至っています。
 間伐した跡地には、下の写真のように、鹿防止ネットで保護した苗木を見ることが出来ます。

 複層林とは、高い木と若くて低い木からなる多段構造の森林です。高い木を伐採しても低い木が残ることにより林地が裸地にならず、土地の流出が防げ、森林の水源涵養機能が維持されます。



良く整備されたボランティア林

ボランティア林Bの入口標識

ボランティア林
 企業・団体や学校などがまとまって森林づくり活動を行うための場所として設定した森林区域で、やどりき水源林内の三つの区域がボランティア林として指定されています。

 この内、寄沢右岸の周遊Aコースに沿ったボランティア林Bが最も規模が大きく、良く整備されています。

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やどりき水源林における事業・活動あれこれ

 やどりき水源林は1999年に県が取得し、県の水源の森林づくりへの理解を深める場として活用されていますが、それ以前は、森村産業梶i旧名:森村組)が林業経営をしていました。
 森村組は1923年から植林を開始し、面積約460haにヒノキ、スギ、アカマツ、ケヤキ等を植栽し林業経営にあたってきました。そして、林内の巨木林は関東大震災等数々の試練に耐え「森村山林のヒノキ林」として神奈川の美林50選に選ばれています。
写真は管理棟横にある美林50選の標識です。

 その後、管理は県に移管し、県は砂防工事、植林地の手入れなど、水源林を整備する事業をおこなっております。そして、かながわ森林インストラクターの会は県の事業に協力する活動を行っております。

 左はやどりき水源林内の周遊Bコースにある沢の砂防ダムです。この沢付近は比較的もろい地層で、大水のたびに崩壊していましたが、治山工事のおかげで浸食を防止することが出来ました。また、周遊コースは標識が完備し、安心して見学することが出来ます。


 かながわ森林インストラクターの会では毎週日曜日に、水源林を案内する観察会を行っておりますが、そのために必要な水源林内の自然環境及び野生生物等に関する情報収集活動を行っております。

定点観察

 水源林内の巡視及び樹木・動植物等の定点観察を行い、危険箇所や特色のある樹木・動植物などの生育・生息の状況について記録し、年間を通してまとめ、さらにボード等に掲示して来訪の方に見てもらえるようにしております。


水生生物採取


土壌生物採取


登山道調査


動物調査
 植物、動物、土壌水生、登山道、育林調査、情報発信の6つの班で水源林内の多岐にわたる調査、情報発信活動を行っております。写真は土壌水生班、登山道班、動物班の活動の模様です。